2017年12月16日 shotom 1Comment

では実際に、脂質は人間の体内でどのようにエネルギーとなっているのでしょうか。
この仕組みを私の体験を交えながらできるだけシンプルに説明します。

体内で合成される人間のエネルギーとして、もっとも中心的であり有名なものに、アデノシン三リン酸(ATP:エイティーピー)があります。このATPをどれくらい効率よく産み出すことができるかによって、どれだけ生体の活動が活発になるかが決まります。

細胞内には、解糖系とミトコンドリア系という二つのエネルギー産生システムがあります。ATPを効率よく産生するには、解糖系よりもミトコンドリア系を活発に働かせることが肝要です。

解糖系は、一言で表現するならば、100m走の時のエネルギー産生法です。つまり、爆発的な瞬発力を産むことができますが、呼吸も止まっていて、すぐに疲労してしまいます。ミトコンドリア系は、太極拳のように、ゆったりと深い呼吸をしながらずっと動き続けるときに使います。生命は二つのエネルギー産生法をうまく使い分けているのでどちらかだけを使うこということはないのですが、解糖系を使い続けると疲労するのでミトコンドリア系を優位にしていくと、たくさんのエネルギーを産むことができるのです。

細胞のエネルギー産生の中核をなすのが、ミトコンドリア内のTCA回路(クエン酸サイクル)です。TCA回路とは、トリカルボン酸回路(TriCarboxylic Acid Cycle)の略で、有機物が燃焼して二酸化炭素と水になる代謝サイクルを指しています。この回路がうまく働くと、産まれるエネルギー量が増えていきます。

ミトコンドリア系でエネルギーを産むには、酸素と脂質と温度が必要と言われています。つまり、呼吸が深くて体温が高く、脂質が十分にあればエネルギーが産まれやすくなるということです。

酸素を増やすには、呼吸が重要です。よく運動をするとよいと言われますが、私の考えでは、呼吸の深さはもっと構造的な原因があると思っているので、運動より先に、肋骨の動きを大きく柔らかくするドラゴン呼吸をするのがお勧めです。

体温については、筋肉量が増えれば、体温は高い状態で一定を保ちやすいと言われるので、筋肉量を上げるのがよいでしょう。そのために最も効果的、つまり短期間に少ない労力で筋肉量を増やすには、下腿の運動、スクワット系の運動がよいと思います。

インナー・タオ・プラクティスでは、ドラゴン呼吸と、2分でしっかり大腿に効くスクワットを教えています。スクワット系が効果的なのは、下腿が最も大きな骨と筋肉があるパートなので、負荷をかけやすいのと、その場でできるなど少ない動作で筋肉を増やすことができるからです。インナー・タオ・プラクティスにこられない方でも、無理のない動きでゆっくりとスクワット的な動きをしていけば、すぐに鍛えられると思います。

そして、後は脂質があれば、ミトコンドリアがエネルギーを産む準備ができたということになります。

体内のATP産生については、糖質から解糖系でATPが作られてその後ピルビン酸などができてそこからミトコンドリアに運ばれてATPが作られる経路と、脂質が脂肪酸として肝細胞のミトコンドリアに入りTCA回路を通じてATPを産む経路の二つがありますが、肝細胞での代謝ではもう少し複雑なことが起きています。

肝細胞では脂肪酸が、アセチルCoAという物質に変わります。これはβ酸化と呼ばれていて、ここでもATPが産まれます。ここでアセチルCoAがそのままTCA回路に入るのですが、体内の糖質が少ない場合は回路に入らず、ケトン体が作られます。このケトン体が血流によってからだの隅々に運ばれてまた別の細胞内でATPが産まれていくのです。

ケトン体は、以前は飢餓状態で発生する物質というように考えられていたのですが、あかちゃんがお腹の中にいるときは100%ケトン体でエネルギーを補給していることなどが分かっており、ケトン体が実際には生命活動にとって効率のよい、役に立つ物質なのではないかと思われるようになりました。

ケトン体はATPの前駆物質ということになるので、それがたくさんあると、からだの中にエネルギーを産むもとになる物質がたくさんあるということになります。

人類がこの100年ほどやってきたように、糖質の摂取だけでもエネルギーを産むことができますが、肝細胞による糖質代謝には限界があり、また個人差もあるので大量の糖質をとり続けるのは中性脂肪が増えるリスクとなります。

ミトコンドリアによる脂肪酸を介してのエネルギー産生はリスクが少なく糖質の分解に比べて何倍も効率がよいので、糖質中心よりも脂質中心にした方がよいという考えが広まっているのです。

脂質にもいろいろ種類がありますが、いろいろと調べてみると、体質にもよりますがバターやココナッツオイルなどの飽和脂肪酸がよいのではないかと思っています。実際に私自身が大量に摂ってみて、エネルギー的には全く問題なく、むしろお腹があまり空かなくなって食事量も減り、睡眠時間も減っているのに一日中仕事をしながらトレーニングもやって元気で過ごせるのでかなり楽になりました。

飽和脂肪酸は不飽和脂肪酸と比較して酸化しにくいので扱いが楽ですし、質のよいものを大量に買うことでコストも下がるので便利です。グラスフェッドバターは飼育方法がよいと言われているフォンテラ社の5kgのものを購入しています。

バターを5kg、これまで見たことのない物体でしたので、届いたときにはこのずっしり思いやつを全部食べるのか、と思わず笑ってしまいました。冷凍で届いた5kgの塊を切り出すのが最もハードな部分かもしれませんが、味はさっぱりしていて食べやすいです。しかし多少切り出したところで結構な大きさなので最初は冷凍庫がぱんぱんになってました。冷凍でもよい状態を保ちたいので全体をラップでくるんだ状態で保管しています。

私は、一日中セッションをやっているときは、基本的に昼食を摂ることはありません。昼食をとらずにその時その時で必要なものを必要な量だけとりいれる方が、朝から夜まで同じ感覚でずっと仕事ができるからです。

一日一食くらいでちょうど良いので、昼なしでも平気で何年か過ごしてきましたが、まさかおなかが空くと脂質をそのまま食べるようになるとは思ってもいませんでした。

 

 

その3に続きます

One thought on “健康へ導く栄養の話④(脂質編その2)

Comments are closed.